徒然なるままに

Twitterのモーメント代わりにこちらでまとめてみようかと。 一応、いろんなものの感想を突っ込んでいく予定です。

CHAOS;HEAD NOAH(Vita) プレイログ

 

 

 

ここからネタバレ全開の感想ですのでご注意を。

あと、ネガティブな感想も多めですので…

 

 

 

 

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0.はじめに

ADVというゲームの性質上、「面白かったか」という判断ではどうしてもシナリオが占める割合が多くなります。

いつもはネガティブな部分をここまで書くことはないのですが、ADVの肝であるシナリオにおいて「私に合わなかった」 部分が多く、他のジャンルと違い別の要素で打ち消すことが難しかったための結果だと思います。

あとは、オタクである主人公への共感的羞恥や、私が勝手に主人公に求めていたものが見つからなかったという、 まぁ個人的な要素からくる「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ですかね。

 

 

 

1.連続猟奇殺人(ニュージェネ)の異様さに必然性を感じなかった

連続猟奇殺人が物語の中心にあるのですが、殺人時に男のお腹に胎児を詰め込むとか、 そういうグロさに必然性がないように思うんです。

異様さがポイントだとしても、「ただ異様」なだけで「その異様の意味」がない感じですかね。

実は聖光教会の教義に沿っていたとかであれば、その線から犯人に迫るという筋も作れたのになぁと。

現状だと「主人公を追い詰めるために犯人が思い付きでグロイ事件を起こしてました」でしかないです。

個人的には、その思い付きに至る理由の補足とか掘り下げがあっても良いように思うんですけどね。

それが無いのであれば「主人公と同じ高校の生徒が毎日死ぬ」とか「主人公の立ち寄り先の人が死んでいく」 とかでも同様に主人公を追い詰める事ができますし、その方が「主人公を狙ってる or 逆に犯人に仕立て上げようとしている」 という見せ方がしやすいように思います。

…メタ的には、グロ描写自体が目的だったんじゃないかなぁとも邪推しますが。

 

 

 

2.キャラの描写が薄いように思う

そのキャラの見せたいところだけ書いていて、そのキャラの全体像が見えてこない気がしています。

「このキャラはこう!」というテンプレートというか、わかりやすいキャラクター属性が付与されているだけな感じでしょうか。

アイドルのイメージビデオ(?)をからアイドル像を構築しているというニュアンスとしては近いかもしれません。

「このキャラはこういう考え方だから、こう行動を取りそう」という背景が見えて来ないんですよね。

具体的には、キャラ描写の積み重ねによる深さが無い感じなのかなぁ

 

例えば、梨深は施設脱走以降どういう生活をしているんでしょうね?

誰と住んでるんでしょう?

お昼を買っていた描写がありましたが、お金は? そもそも、どうやって脱走したの?

仮に、妄想の送り込みでで誰かの家に入り込んでお金を得て平然としているのであれば 「だいぶやばいやつ」ですし、バイトしてお金をためて一人暮らししてるのであれば 「たくましいやつ」ですし、タクに依存して病室を使ってるのであれば 「結構厚かましいやつ」です。

脱走時に人を殺してるのか、それも躊躇なくなのか泣きながらなのか、それはトラウマになっているのか、それとも割り切っているのか。

そういう積み上げが無いんですよねぇ

 

まぁそういった描写は主題でなくテンポをそぐから割愛しているというのであれば、各ヒロインENDがあろうともヒロインは舞台装置にすぎないという事になってしまう気がします。

 

 

 

3.単純に主人公が好きになれない

主人公の考え方は理解はできるんですけど、どうしても主人公として受け入れられなかったです。

突き詰めると、「受動的かつ利己的でそれを環境のせいにし、相手には自分を一方的に助ける事を望む」感じかなぁ

自分で物語を進めず、他人が代わりに動いてくれるのを待つだけなんですよね。

それを主人公に据えられて自分の分身として操るのはやっぱり好きになれなかったです。

 

各ヒロインENDを見ていても「してくれる誰かのために何かをする」であって、 常に依存先を探してる感じでしかないんですよ。

また、「君に守られたいから君を助ける」であって「君に守られてたから今度は僕が守りたいから助ける」 ではないあたり、もうどうしようもないよなと思っちゃいました。

 

あとは、主人公の好感度の上がり方についても、ちょっといいことをしただけなのに過大に評価されてる感じが。

利用するために行動をしたら好感度が上がってたというか。

不良が子犬を助けるみたいなかんじで、オタクなのに優しくしてくれた!という感じなのかなぁ

 

補足.ADVの主人公について思う事

シナリオが主体となるADVは特にだと思うんですが、主人公の考えが理解できる or 描写から主人公の動きに連続性があり、想像できる。 という事が大切だと思ってるんですよね。

主人公がなぜそう思いそう感じそう行動したのか、がわかる事で主人公に感情移入したりできて物語に入り込めると思うんです。

全く入り込めないキャラでも見ていて楽しい場合もありますが、それで物語を作るのはなかなか大変じゃないかしらん。

 

 

 

4.ストーリーの振れ幅が狭いように思う

各キャラルートに分岐しても、事件の背景や内容が変わるという事もなく、 事件を一緒に解決する・もしくは一緒に終わる人が変わるだけな印象です。

物語が広がって別の答えが出るのではなく、到達点はほぼ同じで別の道を通っただけといいますか。

あくまで事件補足用のIfなのでそれで十分、といえばそれまでですが、妄想トリガーによって「妄想を押し付けて」分岐するというシステムなのだとしたら、妄想を押し付けられた方は性格や対応がノーマルな状態と変化し、 事件も併せて歪んで到達点が大なり小なりズレ、黒幕や着地点も変わる。とかでも良いのではないかなぁと。

 

個人的には、一周目の固定ルートで「妄想による改変」を知った後でなら、 二周目以降のキャラEND以外でも妄想トリガーによる妄想の押し付けでかなり突飛な結末に行ってもいいのではと思いました。

簡単に思いつく所としては、ノア2を主人公が制御するルート、野呂と組むルート、300人委員会に参加するルートですかね。

宇宙人ルートなんかがあっても面白いかもですが。

 

もしくは、1周目に妄想トリガーでハーレムエンドとかバットエンドに行くのもありかなと。

そうすると、クリア前に「あれ、妄想が現実になってる?」とプレイヤーに能動的に気づかせる事ができますし。

それを薄々感じながらシナリオを進めていくのもまた面白い気がします。

 

 

 

5.分岐について

各キャラENDへの分岐が、妄想の結果を積み上げていくのではなく、 ほぼ一回~二回の妄想で決まってしまうのがちょっと残念でした。

例えば、特定のキャラと仲良くなる or 嫌われる妄想のみをしているとそのキャラに比重を置いたルートになるでもいいと思うんですけど、まぁ複雑かなぁ

4で記載した内容と重複しますが、特定の妄想のみを押し付けて仲良く(険悪に)なり、 それでシナリオが歪み結果も歪む。という形がわかりやすいし変化も多いですかね。

ただ、分岐でキャラの掘り下げのみを行いたいのであれば、「妄想の押し付け」はキャラをゆがめる行為でもあるので 塩梅が難しいのかもしれません。

 

 

 

 6.総括

ということで。

設定に伴うシステムの練り込みがなんともでストーリーも広がりが無いため、「この世界観やメインのストーリーが好き」 という所に当てはまらないと微妙かもしれません。

...あれ、結構当たり前な着地点でした。

 

とここまでは表の話で、これを「主人公がヒーローになって活躍する妄想」だとするといろいろ納得できたりもするんですよね。

キャラに対する積み上げの薄さや分岐の幅の少なさも 「妄想なのでデティールや整合性の詰めが甘く、自分が妄想したい流れにだけ力が入ってる」という事で納得できますし、 簡単に好感度マックスというのも、「やってもらった事は少なく、したことは多く思える」という心理が、 人に能動的にならない主人公では過大に働いたとすれば納得しやすいです。

 

それと、梨深ENDの実績名が「アニマの像」なのが気になっています。

アニマって男性の中にある理想的な女性像としてもとらえらるんですよね。

梨深は主人公の普段の行動だけで好意をもち、梨深ENDでは守ってほしいと願う主人公のために 身をなげうって黒幕を倒したりするわけです。

この「主人公にとっての理想像の梨深」を「アニマの像」と揶揄されると、妄想を現実にできる主人公の前にいる、この主人公にとっての「アニマ」は本当に実在してるのか? と思うのはおかしくないと思うのですよ

(まぁ、「タク」が妄想シンクロ時に「アニマとしての梨深」を作り上げて「タクミ」とコンタクトを取らせた、 というひどい話もなくはないですが、さすがにそれはあんまりなので...)

 

また、大ちんが友達になる理由が一番見えなく、妄想で友達にしたのかもという言及があるくらいなので、 それを認めるなら「ここまで主人公にとって都合のいい展開と結末があるなら、この話自体が主人公の妄想なんじゃない?」 という発想も有りだと思うんですよねぇ

 

とまぁここまでも私の妄想ですので。