0.前段
ここで記載する会議は、無作為抽出した市民の中から参加の意思を示した人が市の中学校に関して話すというものです。
会議は1回3時間程度で4回開催され、要望書を出すのが目的だったようです。
また、私は一回目は参加できなかったのですが、そこで説明があったとしてもあまり関係ない内容だと思っています。
1.会議自体の問題
会議は、参加者(20人前後)が͡コの字型に座り、「前回の振り返り」や「課題のふかぼり」といういくつか議題らしきものがかかれた紙一枚をもとに、挙手または指名で発言する、という進行になります。
一つ目の問題点として、この会議の目的が設定されていません。
「~に関しての意見を出して、この集まりでの方向性を決める」とか「~への意見を多く出してどのような意見があるのかまとめる」というような目的があればそれに沿った話ができるのですが、それが無いため、「司会者が振った話に誰かが答えその話を広げていく」という場当たり的な会議となりました。
これは、よく批判されている「ただ好きなことをいうだけで何も決まらない、だらだらと時間が過ぎる会議」でしかありません。
開催回数も時間も事前に決まっているのですから、一回目でテーマを決め、二回目でテーマ1について意見をまとめ、三回目でテーマ2について意見をまとめ、四回目で提案書への記載内容を決める。というような構成をはじめにできたはずです。
二つ目は、なぜ20人全員をコの字型にして一か所で会議した理由がわかりません
意見を出す事が目標であれば、世代を混ぜた小グループを4,5個作成しその中で意見を出し合い、それを全員が集まる時間に発表する。という形式の方が同時並行して多くの発言が行われるため多くの意見が出ると思います。
また、せっかくいろんな世代が入り乱れての会議なのですから、他の世代の人と何気ない会話をする、という時間を作るのも世代間のギャップを知るためにも良いように思います。
擁護としては、一人の意見をみんなで聞いて話し合ってほしいためこの形式にした、という事も考えられますが、見知らぬ20人が意見をぶつけ合う(ある意味相手の意見を否定する)のは難しいのではないでしょうか。
3つ目は、タイムスケジュールが一切ありません。
これは会議の目的が設定されていないことに起因していると思います。
~時までに意見を出し合い、~時までに特に注目する意見を深掘りし、~時までに提案書への記載の大筋を決める。という流れがあれば、工程ごとに何を何時までするのかが明確になり会議がまとまると思います。
4つ目は、主観も混じるのですが、「話し合い」ではなく「発表会」に過ぎなかったことです。
会議に目的が無く、何かの結論を出す必要が無いので、参加者は思ったことを言いっぱなしでいいわけです。
話し合いが全くなかったわけではありませんが、この程度であればWebアンケートでも問題ないのではないでしょうか。
擁護する点としては、二つ目に記載しましたが、「話し合い」という互いの意見をぶつけ合う(ある意味否定する)には、見知らぬ人同士の20人の会議は大きすぎると感じますので、会議デザイン自体のせいかもしれません。
また、これは蛇足なのですが、参加者の多くの方が自分の周りの具体的なことをしゃべることが多く、そういった細かい点をこの場で話してどうするの?という気持ちも結構あったのですが、これも会議の目的がわからないからでもあるよなぁというのと、そういう所を聞きたくて無作為選出してる所もあるでしょうし、なんとも難しい部分です....
まとめると下記になりますが、自分で書いていてなかなか容赦がないですね。
とりあえず開催したように感じられ、レベルが低いです。
- 目的が無い
- 発言ややり取りしやすい環境が考慮されていない
- 段取りが無い
- 会議ではなく発表会
2.提案書から見えてくる問題
提案書は1~3回目での発言内容や、会議後に提出するシートの内容をもとに開催者側で作成し、最終回の会議で内容について問題ないか確認する。という経緯でした。
(個人的には要望書を開催者側(市の関連団体)で作成する時点で茶番感が強いとは思いますが)
まずは、提案書に大分類として記載された5つのテーマですが、これは会議で決められたものではなく、発言や提出シートの内容から開催者が勝手に作成し分類しています。
これは開催者のバイアスがかかる行為であり、この時点で私はこの会議の無意味さを思い知りました。
そもそも提案書にテーマを記載するなら、会議の参加者でテーマを決め、そのテーマに沿った会議にすればよかった話です。
もしくは、開催者からテーマを提示して、参加者はそのテーマについて発表させた方が会議としてはスムーズです。
最後に市長が「よくこのいろんな意見のでる会議を要望書にまとめてくれました」といったことをおっしゃってましたが、まとめられるように開催・進行するのが開催者の役目なわけで、そもそもの準備や段取り不足としか思えません。
または、自分の都合の良い方向への誘導したり、恣意的な意見を拾いやすいようにわざとテーマを絞らず、参加者による決定を防いでいた。という邪推もできますが。
二つ目は、提案書自体の出来です。
まずは5つあるテーマ間の境がわかりずらく、参加者も悩んでいました。
具体的にするか統合してもよいのでは。
次にテーマ内に記載された参加者の意見が具体的なものと抽象的なものがごちゃ混ぜになっており、「プールの使用回数を増やす」から「~について考える」みたいなものが交互に出てきたりするので煩雑感があります。
理念、具体的な行動、課題みたいな形で中項目の中でもさらに分けるか、せめて順番を整理すべきです。
次に、記載された内容を律儀に転記したからか、冗長な文章や、意見間で表現のブレがあります。
発言者を記載せず一つの資料にまとめる以上、ブレはなくしましょう。
最後が致命的ですが、テーマや項目に流れが無いです。
ただ書き連ねているだけで、読んでいる人を最終手的にどこに導きたいかの目的が感じられません。
商品紹介やプレゼンであれば、一本の線を通しつつ、起承転結や山谷を作ることで見ている人を誘導するのですが、それは感じませんでした。
擁護点としては、「。」が無いとかはなかったり数字の半角全角はそろってたように思いますが、箇条書きで最後に「。」がついてたのはどうなのかしらん。
こちらについてもまとめると下記になりますがやっつけ仕事に見えてしまいました。
- 勝手にテーマを作成
- テーマの分類が不明瞭(または、把握できない)
- 記載内容が煩雑
- 目的への誘導ができていない
3.その他の気になった点
それ以外に気になった点として、まずは、参加者の実名は必要でしたか。
出席者や欠席者の実名を印刷して配る必要性を感じませんでした。
逆に、実名じゃない方が発言しやすいのではないでしょうか。
議事録にも誰の発言か記載されないのであれば、発言の責任をとる意味合いもなさそうです。
グループセッションで話し合うのに互いの名前が無いと呼びずらい、とかならわからなくはないのですが、今回はその形式ではありませんし、司会者が指名するだけであれば各自に振られた番号でいいのでは。
氏名を扱うことに抵抗が無いであろう市役所らしい、プライバシーや発言しやすさへの配慮が欠けた会議だなと感じました。
次に、これは完全に主観でしかないのですが、最後の市長挨拶がなんとも好きになれない物でした。
今回の会議について、まず感謝すべきは参加した市民であって、開催団体ではありません。
参加者から開催団体に拍手させる意味が分かりません。
市長の身の上話や考えも不要で、市長への要望の会議であり、市長の自己満足のものではないはずです。
最後に、これは私の考えにすぎませんが、中学校のためであれば無条件で地域や市民や企業が協力すべき。というような結論は好きでないですね。
これから独身や子供のいない家庭が増えていき、子供がいない事で地域との交流も減る人が増える中で、市から一方的に「協力しろ」と言われてもね、と。
会議に出てくるような人たちは地域への意識が高く、いわゆる「陽キャ」側の人達でしょうから、私のような「地域に交流も関心もない陰キャ」側へリーチするような意識や考えはないのだと思わされましたね...
4.まとめと感想
ここまでの内容をまとめると、目的やテーマが設定されないまま大人数でだらだらと意見を言うだけの会議が行われ、その内容から開催者が勝手にテーマを決めて発言や提出文書を転記しただけの要望書が作成された。という感じでしょうか。
当然主観ですが、個人的には非常に残念な会議でした。
だらだらとした時間を使うだけの会議と、ただのおためごかしで書類の海に埋もれるだけの要望書だと思っています。
要するに「ちゃんと市民の皆様の意見もきいてますよ」の実績作りでしかないなと。
外部に委託とはいえ、結局他県の市役所つながりという狭い話ですしね。
多少は期待してこの会議に参加したのですが、だいぶ市に愛想が尽きましよ。
要望書が出た時点で「この会議で何を言っても自分が満足するだけで意味はない」とあきらめてしまいましたよ。
それにしても、他の参加者の方はどう思ってるだろうなぁ
まぁ私のような人は最初の会議で離脱しているのかもしれませんが。
5.自分なりの開催案
言いっぱなしは良くないので、自分ならどうするかを考えてみました。
「会議は1回3時間程度で4回開催し、要望書を出すのが目的」という条件を踏襲しています。
下記案なら、互いに意見を言いやすいし、要望書の内容も話し合って絞り込んだ内容になるので、シンプルかつ「自分が出した意見だ」という感じで要望書への反映がわかりやすくなるのでないかしらん
そうすれば「参加し影響を及ぼせた」という達成感がうまれて行政が身近になるかもしれません。
また、世代間で共同作業を行うので、交流が生まれて「このグループでなにかしようか」という形でにつながっていけば素敵ですね。
1)会議の構成
いろいろな世代が混在するように5人のグループ作成し、司会者はグループの中の一名を進行役として指名
会議毎にグループは再編成し、いろいろな意見が聞けるようにする
可能であれば、各グループに市役所職員を書記役として参加
2)会議内容1
一回目の会議では、一時間かけてグループ毎に要望書のテーマ出し(2~4個程度)を行う
残りの二時間は各グループからテーマとそのテーマ選出理由を発表してもらい、そこから今後話し合うテーマを4~6個選出する(多数決でも可)
可能であれば、次回各自に考えてもらうテーマを指定し、考えておくことを宿題とする
3)会議内容2,3
二・三回目の会議では、はじめの二時間はグループごとにテーマの内容を話し合う
(複数グループが同一テーマでも可)
最初の一時間でテーマで到達したい目的、残りの一時間で具体案を出してもらう
最後の一時間は各グループの発表とそれに対する話し合い
可能であれば、次回各自に考えてもらうテーマを指定し、考えておくことを宿題とする
4)要望書
開催者は、一回目で出たテーマを大項目、選出理由を前文、二・三回目で出た目標と具体案を内容として要望書として作成
5)会議内容4
最終回の会議では、はじめの一時間半でグループ単位で要望書読み合わせし気になる点をまとめ、残りの一時間半で各グループの発表とまとめ作業