徒然なるままに

Twitterのモーメント代わりにこちらでまとめてみようかと。 一応、いろんなものの感想を突っ込んでいく予定です。

ゴジラ-1.0の雑感

0.はじめに

今作を観ての感想が、世間のすこぶる良い評判といまいちかみ合わない気がしたので、気持ちの整理も兼ねて書くことにしました。

ある程度のネタバレ注意です。

また、結論だけ記載すると、私はシンゴジラの方が好きなので、比較する以上、否定的な論調になるかもしれませんのでご注意ください。

 

事前情報としてこれを書いている私の事についても記載しておくと、ゴジラについてさわり程度の知識はあったものの未視聴で、シンゴジラを劇場で見たのがはじめてでした。

後はハリウッド版やゴジラVSコング位ですね。

それと、描画されている事をそのまま受け取り深読みはあまりしないので、「浅い!」といわれると反論はできません…

(読解力は人並みにあるつもりですが、根拠として示せるものが「勉強しなくても現国が一番得意」位しかないので…)

 

 

1.今作の良かった点

良かった点としては、散々挙げられているように、ゴジラ関連でしょうか。

ゴジラの暴れっぷりが容赦ないです。

高い建物がなく、一般市民の目線からの脅威なので絶望感が凄かったですね

特に、史上最高の熱線というのはその通りでしたよ。

あんなものどうしようもないです。

また、シンゴジラは、こちらに対して興味が無く邪魔されたから反撃する。というスタンスでしたが、ゴジラ -1.0はかじりついても捕食していないところを見ると、こちらへの攻撃を狩りの様に楽しんでるように感じたんですよね。

この「楽しむために殺してる」という事自体が、互いのレベルの差を如実に表してます。

 

それと、神木隆之介さんの演技が凄かったなぁと。

私は普段ドラマや映画を観ませんが、目から葛藤だったり狂気だったりを感じましたよ

 

2.今作の気になった点

一つ目としては、登場人物の心情や感情をそのままセリフしているかのような「わかりやすさ」ですかね

この人はこういう人なんですよ、この人こういう役割なんですよ、というのがそのままお出しされるので、ストーリーも展開も読みやすいんですよ

場面場面で「あ、この人が~するな」とか、「この流れだと~は失敗するな」とかが透けて見えてしまって…

また、登場人物間のやり取りも直線的で、その時どういう気持ちだったんだろう、という事をわかりやすく提示してくれてるように思うので、ある意味安心して見られるかもしれません。

ただ、個人的には、ぼかした会話ややり取りから人となりや立場を視聴者に気付かせる方が好きなんですよね

お膳立てされすぎているからか、どうしてもわざとらしく、映画と比較して「見せ方」に制限のある舞台のような演技になってしまっているような気がしました。

 

二つ目としては、ゴジラの活躍の機会が少なく、添え物だった感があるところです。

生き残ってしまった特攻兵の中で続いている戦争が終わる話にたまたまゴジラが居た感じで、ゴジラで人生を狂わされた!というにも中途半端に思いました。

主人公が一番接触してますし、出そうと思えばもっと因縁感を出せたように思うんですよねぇ

また、ゴジラへの対策や対処についての掘り下げよりも、主人公の動向や心情描写の方が多いように感じましたよ。

まぁ、人間ドラマとゴジラの暴れっぷりのバランスは難しい所でしょうからね

個人的には、なぜいきなり銀座スタートなのか、銀座で暴れた後どうしたのか、そもそもゴジラとはなんなのか、などのゴジラに対する描写をもっと増やしてダブル主人公位の立ち位置まで持ち上げてほしかったです。

一民間人の主人公視点かつそのドラマがメインの一つなので、主人公がゴジラに襲われる・戦う時しか描写するタイミングがなかったのかなぁとも思いますが。

 

※流れや設定の突っ込み所も多々ある気がしますが、一回で物語のタイムラインを把握できているとも、すべて拾えているとも思えないので…

 

3.シンゴジラとの比較

シンゴジラは視点が国で、「ゴジラにいかに対処するか」を主軸としつつ、対処にあたる個人の意思と意地が描写される話

ゴジラ-1.0は視点が一個人で、個人のドラマを主軸としつつ、要所に表れて最後に大きなヘイトを稼いだゴジラを仲間たちと駆除する話

ですかね。

 

シンゴジラは、国としてどう対処するかの組み立てとそれに対する「プロ」の意志や意地の熱を楽しめるのかがポイントかなぁ。

逆に言えば、個人を掘り下げた人間ドラマは無いので、感情移入という点では薄いのかなと。

一方のゴジラ-1.0は、人間ドラマを楽しめるのかがポイントですかね。

逆に、人間ドラマを楽しめなければ、見どころはゴジラの暴れっぷりしかないような気がします。

 

個人的には、シンゴジラは人間の間での感情によるいざこざがほぼ無く、「ゴジラに対処する」の一点突破なのでストレスフリーな所と、ゆれつつも意思を貫くのが好きなので、シンゴジラの方が好きですね

また、個人の掘り下げが薄いと書きつつも、登場人物の言動の端々で何となく性格だったりが見えてくるし、行間を想像する余地があるんですよね

直接情報を叩き込まれるよりも、そういう見せ方の方が好きだなぁ

 

ただ、シンゴジラのような組み方で二作目を作るとどうしても同じ流れになってしまう気がするので、人間ドラマがメインとなる王道の「ゴジラ-1.0」に回帰するのは必然だろうなぁと。

 

4.まとめ

ゴジラの暴れっぷりや最強と名高い熱線などに目を見張ったものの、人間ドラマ部分は説明が多く展開が読めてしまい、ゴジラはそれに合わせるための添え物のように感じ、シンゴジラほど楽しめなかった、という感じですね

 

個人的には、人間ドラマ部分を少し削って、地上での大暴れや戦艦との海戦をもう一回くらいして欲しかったです。

銀座撤退中に海戦、再上陸後に陸戦とか。

別のシチュエーションで建物の破壊や軍艦との戦闘をもっと見たかったなぁ

それと、最後は、最終安全装置が脱出装置を兼ねていて、特攻するつもりだった主人公に整備士が生きろと婉曲的に伝える。という流れかと思ってましたが、まさか直接言ってるとは。

この流れだと、「今の仲間に何を言われてもアキコを守るために特攻するつもりだったけど、整備士に生きろと言われたから生きる事にした」となるんですよねぇ…

なんというか、この直接さがこの映画の人間ドラマを物語ってるような気もしてきました…